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艦これ小説『鎮守府室長執務記録』 [5 作戦前夜]

<前回のあらすじ>
はじめての演習を行う3人。戦闘未経験な3人ではあったが、単艦と言えど戦艦相手に勝利を収めることに成功した。


午後8時。会議室に入ると五十鈴・吹雪・白雪の3人はすでに集まっていた。彼女たちの年齢からすれば遅刻しそうな子もいそうな気もするが、こういうことも養成所で教育されたのだろうか。何にせよ時間を守るのは善い行ないである。最前列の長テーブルに座った3人の前に行き、A4用紙に印刷した紙を3人に渡す。

「えー、みんなに集まってもらったのは他でもない。我々は明日より深海棲艦の行動を無力化する作戦行動に着手することになった。まず我々が行うのは鎮守府付近にいる深海棲艦の無力化である。作戦名は『近海警備作戦』とでも名付けることとする。ここから約10キロ程度離れた場所が、奴らの拠点にしている場所というのは確認されている。君たちはそこにいる深海棲艦を無力化することが今回の行動作戦である。」
そう言うと、3人に先ほど渡した紙を見るように指示をする。紙には鎮守府があると思われる場所の海岸線と、深海棲艦の拠点が記されている。

「あの……、ここってどこにあるか分かるのでしょうか?」
白雪が尋ねる。
「それがな、大まかな位置だけしか分からんのだよ。一応羅針盤というか方位磁針はあることはあるが、深海棲艦の影響で磁場が狂ってしまっててな。だから方位磁針の指し示す方向以外に行くとどんな危険があるか分かったもんじゃないんだ。俺たちは方位磁針に従うしかないんだ」
「不安ですね」
「うむ。しかし方位磁針は我々にとって必ず味方になってくれると信じている。それに、私は君たちには絶対無理をさせないつもりでいる。大破した場合は無理な進撃を行わず必ず引き返してくるということは約束する」
「分かりました。司令官の言葉を信じます。……そういえば艦隊名みたいなのはないんですか?」
「そうだな、すっかり忘れてた。『深海棲艦特別対処行動機動艦隊』なんてのはどうだ?」
「それはちょっと長いわよ」
「むむむ……。じゃあ『特別機動艦隊』でどうだ? 先の戦争でも『機動部隊』ってあったじゃん、あれをイメージしてみたんだが、どうかな」
「言いやすくていいと思います」
3人の意見が一致した。
「じゃあ決定で。本日の会議はこれまで。明日はマルロクマルマルに起床、朝食を取ったらマルハチマルマル五分前までには玄関に集まること。解散」
そう言うと場の空気が穏やかになった。まるで明日の戦闘までの間のひとときを満喫しているようだ。そこで私はこう言った。
「よし、じゃあ皆で一緒に風呂に行こうか。皆まだなんだよな?」
「……し、司令官!?」
「司令官の命令だとしても、いくらなんでもそれは嫌です」
「何言ってんのよ、アタマ変になっちゃったの? やめてよね、明日から戦おうって時に」
「……申し訳ない、語弊があったな。確か女子用風呂の隣に男性用の風呂、……といっても入るのは私だけなのだが、があったからそこまで一緒に行こうと言うことだ。決して一緒に入りたいとはこれっぽっちも思ってない。信じてくれ」
ここで「君たちの裸は興味あるが」と言いそうになる気持ちをグッと堪える。
「さすがに司令官もそこまで落ちぶれてはいないようで安心しました。でもこれっぽっちも思ってないって言われるのも、それはそれで心外です」
「すまんすまん。じゃじゃじゃじゃあ、荷物を各自部屋に置いて玄関前に集合。とりあえず下着とかパジャマなんかは各部屋に置いてあるからそれを使って。官費で支給されてる物だからあまり派手なものではないのが残念だとは思うが我慢してくれ」
3人は「はーい」と言うとそれぞれの部屋に行き下着等を取りに行った。

5分後、玄関に私を含めて4人全員集まったところで風呂に向けて歩き出す。
「司令官、本当のところはどうなんですか?」
「んー、何がだ?」
「何って、私たちの裸見たいのかってことですよ」
「そりゃ男なら女の子の裸は見たいに決まってるのが相場で、自分も男の端くれとして ……って何言わせるんだ」
見ると3人ともクスクス笑っている。
「お前たち、からかうのはやめんか。それくらいの節度は持ってるから」
「司令官も女の子が好きな普通の男性なんだなって分かって良かったです」
「まあな」
(まぁ、司令官になら裸見られてもいいかな……)
「ん、なんか言ったか?」
「いえ、何でもないです」

風呂は本館のすぐ脇にあった。暖簾に「風呂」と分かりやすく書かれている。左が女子用、右が男子用だ。
「それじゃあ出たらそのまま戻っていいから。明日はきちんと6時に起きるようにな。起床の放送かけた方がいいか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか、じゃあおやすみな」
「おやすみなさい、司令官」
そう言って3人と別れ男子用の風呂に入った。中は温泉旅館や銭湯のような感じで、脱ta衣所があった。一つ違うのは、着替える場所が一つしかないということだ。それもそうで、鎮守府で生活する男性が自分だけなのだ。資材を運んでくる船員たちも男性ではあるが、ここの風呂は使わず市内の宿舎にある風呂を使う。服を脱いで脱衣所にある扉を開けると、銭湯や温泉旅館同様に風呂場へとつながっていた。こちらも自分だけが入ることを想定してあるのか、シャワーが1つしかなかった。さらに風呂も家庭用とほぼ同じ大きさである。少しは期待していたのだがなぁ……。

一方の女性用である。こちらは何十人も入れるような大きさの脱衣場と、風呂場にはシャワーが相応に、風呂もかなり大きいサイズになっている。3人が体を洗い風呂に入る。
「大きいですね」
「私たち3人だけだと持て余しちゃいますね」
「でも、これから私たちの他にも着任してくる子がどんどん来るわけだし、手狭になっちゃうよ」
「それまで大きいお風呂を堪能しときましょうよ、最初に来た子の特権よ、特権」
「私こんな大きいお風呂入るの小さい頃に温泉に行って以来入ってな……」
そう白雪が言うと五十鈴と吹雪の目つきが変わった。
「白雪ちゃん」
「え、どうしたんですか」
「よく聞いて。私たちは大きいお風呂には一度も入ったことがない」
まるで白雪の記憶を操作しているかのように諭す。
「え、でも私家族と一緒に温泉に……」
「私たちに家族はいない、いいね?」
「アッ、ハイ」
そう、艦娘は小さい頃の記憶は思い出してはいけないのだ。思い出そうとするとこうやって他の艦娘から「思い出してはいけない」と言われ記憶を封印していくのだ。
「でもやっぱり思い出しちゃうんです……」
「私たちは『艦娘』なの。耐えるしかないのよ……」
「家族と離ればなれになってるけど、私たちがいるじゃない」
「そんなにしんみりしないでよ。明日から作戦開始よ、元気出していきましょ!」
「そうですね、がんばりましょう」

こうして作戦前夜の夜が更けていった。
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マロン

Author:マロン
鉄道マニアで主に乗り鉄。
また、艦これやガルパンが好きです。

「マロンブックス」というサークル名でたまにイベントに参加しています。

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