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艦これ小説『鎮守府室長執務記録』 [6 出撃]

<前回のあらすじ>
翌日の出撃に向けて会議をする提督と3人の艦娘。
会議が終わり風呂に行き、艦娘との自覚をさらに強めた

朝6時。食堂でイワシの缶詰をおかずに朝食を食べていると、3人が眠たそうな目をこすりながら入ってきた。
「おはようございます、司令官」
「どうした、眠れなかったのか」
「まぁ今日から出撃ですから、不安になっちゃって……」
「それは仕方ない。飯はできてるから食べな」
3人の前には魚の干物が出てきた。
「司令官は何で缶詰の魚を食べてるんですか?」
「ん? ……ああ、私は司令官という立場であり、かつ内勤だからな。こういう手早く食べられるものがいいのだよ」
「本当ですか? 別に同じの食べても大して変わらないと思うんですが」
「いいから早く食え食え。時間ないぞ」
「本当は焼き魚苦手なんじゃないですか」
「仕方ないだろ、骨取るの面倒なんだよ」
「ふふっ、司令官子供っぽいですね」
「美味しいものを食べるのが重要だからいいんだよ、ごちそうさま」
味噌汁を飲み終わりトレイに載せた食器ごと下げに行く。
「8時半に装備を持って各自船着き場に集合」
私はそう言うと執務室に戻って行った。

一方の3人である。装備室に行き、艦娘証明書についているICカードに装備の登録を行う。とは言っても、装備は昨日7.7ミリ機銃を作っただけであり初期装備のままではあったのだが。
「本当にこれだけで敵を倒せるのかな……?」
不安になるのも無理はない。
「でも、司令官が装備作らなかったってことは、これでも倒せると踏んだんだと思うよ」
「危なかったら引き返してくればいいって提督も言ってたじゃない。大丈夫よ」
8時30分、定刻通り船着き場に集まった。

提督は既に船着き場に居り、ジョンベラ姿の誰かと話していた。提督は黒い革バンドのついた腕時計を見る。
「よし、時間通り集まったな。これがこれから君たちに乗ってもらう特別任務船『はるしま』である。この『はるしま』以外にも『なつしま』、『あきしま』、『ふゆしま』の4艦を深海棲艦掃討作戦のために作ってもらった。ただ、今ここにいるのは『はるしま』だけで、他の3艦は他の場所の近海警備をするため出払っている」
「はるしま」に限らず特別任務船、通称「特務船」は長距離航海が可能であり、それでいて艦娘は最大6人までしか乗船しないため船体をコンパクトにしたのが大きな特徴である。ただ、色々な点で見切っているため一人部屋を確保することができず、艦娘は6人で1つの部屋を使うことになっている。
「そうそう、君たちに『はるしま』の船乗りを紹介する」
「『はるしま』の船乗り?」
「船長の飾磨さん」
「うっす、よろしく」
「航海士の出川さん」
「がんばります、よろしく」
「機関士の瀧さん」
「よっす、どうも」
飾磨、出川、瀧の3人がそれぞれ艦娘と握手を交わす。
「彼らが君たちを精一杯サポートしてくれるはずだ。私は船に乗る資格を残念ながら持っていない。よって、私にできることは作戦を立て君たちの安全を執務室で祈るくらいしかできない。本当は前線に立って陣頭指揮を執りたいところではあるのだが……」
そう言うと昔のことを思い出してしまい気分が落ち込んだ。

深海棲艦との戦いが始まると、多くの男性が近海警備等で船に乗ることが当たり前になった。逆に言うと「船に乗らない男は軟弱者である」ということである。私が進路選択の際に「船に乗らず後方支援を行いたい」と言うと散々馬鹿にされた。「お前は野球部のマネージャーのような立場で一生を過ごすのか」とまで言われた。それでも自分は船に乗らないことを選んだ。今でも自分の行った選択に間違いはないと思っている。
そんなわけで、階級的には自分の方が高いにも関わらず、圧倒的なヒエラルキーとして船乗りの方が自分のような事務職を主に行う者よりも勝っているのである。無論艦娘に対しても同様である。艦娘の上司という立場ではあるが、艦娘の体調を気にかけ常にコンディションを高めるようにしなければならない、というのが自分に課せられた大きな仕事のうちの一つなのだ。

そんなことを考えていると五十鈴が肩を叩いた。
「何言ってるのよ」
「ああ、五十鈴か。びっくりした」
「そりゃさ、船に乗るのは重要な仕事よ。でもさ、それと同じくらい私たちのことを気にかけてくれるってのも重要な仕事じゃないのかしら?」
「まぁそうなんだが。しかし……」
「大丈夫だって。ちゃんと蹴りつけて戻ってくるから」
「そう言ってくれるだけでありがたいよ。少し元気出たよ」
そういうと頬をパンパンと叩き気合を入れなおす。
「よし、それじゃあ特別機動艦隊、出撃だ。単縦陣で挑んでくれ」
「了解しました」
そう言うと3人は『はるしま』に乗り込んだ。自分の仕事はここまでである。後は無事を執務室から祈るしかないのだ。

変わって『はるしま』の船内。
「緊張するよね……」
「さっき部屋を見せてもらったけど、部屋に2段ベッドが3つあったよね。でも、いつ深海棲艦と交戦するか分からないからゆっくり寝られないよね……」
「今回は鎮守府の近海だから寝ると言うことはないけどね」
3人はいつ出撃するのかが気になって仕方がないようだ。その証拠に客室内をうろうろしている。

船着き場から10キロ程度出たところであろうか。双眼鏡を覗いていた航海士の出川が叫んだ。
「敵艦発見しました!
直ちに艦内に敵艦を発見したことを知らせるためのベルを鳴らす。先ほどまでとうって変わって俄かに艦内が慌ただしくなる。艦長の飾磨が冷静に放送を流す。
「確認できるのは駆逐艦1艦。どうやらこちらの様子をうかがいに来ているらしい。3人ともすぐさま出撃の準備に入ってくれ」
3人も甲板に出て銀の懐中時計のようなものを掲げる。すると、巨大化した分身が海面の上に現れた。敵艦はおおよそ人間とは程遠い感じを受けた。
「五十鈴には丸見えよっ!」
五十鈴の放った砲撃が駆逐に命中し、水しぶきを上げながら沈んでいくのが見えた。どうやら倒せたようだ。
「あら、これで終わりなの?」
「これは前衛部隊でおとりらしいです。最深部はもう少し先のようです、ってなんか光ってます!」
敵艦が沈んだ場所に何やら光っている場所があった。艦長の飾磨がその光っているものを網のようなもので拾い上げ、籠のようなものに詰める。
「これは何ですか?」
吹雪がそう尋ねる。
「これはね、艦の魂みたいなものだ。艦の魂の入手方法は建造によるものと、鹵獲する方法の2つあって、前者はこっち側の職人が作るからそのまま艤装に合致できるんだけども、後者だと敵によって魂が汚染されてるから浄化する作業が必要でね。うかつに触れないんだ。だから今みたいに器具を使って取るんだ。で、浄化した魂を艤装に入れれば完成ってわけ」
「なるほど」

「さて、とりあえず前衛部隊は倒せたわけだけど戻るかい?」
「無傷なのに戻る理由はありません」
「よし分かった。進撃しよう」
そういうと磁場が狂っているコンパスを回した。しばらくすると、コンパスの針が止まった。
「よし、こっちだな」
飾磨が出川に指示を出すと、出川が舵を切る。20分後、敵艦を発見した。
「今回は軽巡洋艦1隻と駆逐1隻の2隻の模様。さっきより強いから心してかかってくれ」
「ここが最深部なんですか?」
「残念ながら違うようだ。どうも逆方向だったらしい」
先ほどと同様、甲板で銀の道具を掲げ、分身を出現させる。
「五十鈴には丸見えよっ!」
14センチ単装砲が駆逐を倒す。敵軽巡が吹雪を攻撃してくる。
「きゃあっ!」
どうやら小破で済んだようだ。
「当たってぇー!」
12.7センチ連装砲が敵軽巡に当たる。中破に追い込んだ。
「白雪ちゃん、お願い」
「狙い良し。打ち方はじめっ!」
白雪の放った砲撃が当たり敵軽巡が大破に追い込まれる。
「雷撃戦移行します!」
3人の放った魚雷が敵軽巡に命中、海に沈んでいった。
「やりました!」
「はじめてにしては上出来だ。おっ、また艦魂があるぞ」
そういうと飾磨が先ほど同様網ですくい上げ籠に入れた。
「この調子で最深部に行きましょうよ」
「そう行きたいところなんだが、コンパスが港に向かってるんだよ」
「それは残念です」
「まぁな。君たちの活躍を間近で見て、やっぱ艦娘ってすげぇって思ったぜ。君たちが無事な限りは俺たちは何度でもフネ出してやるから。それだけは保証する」
「ありがとうございます!」
「帰ろう。帰ればまた来られるから」

特務艦『はるしま』は意気揚々と鎮守府に向けて帰港を始めた。
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Author:マロン
鉄道マニアで主に乗り鉄。
また、艦これやガルパンが好きです。

「マロンブックス」というサークル名でたまにイベントに参加しています。

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