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艦これ小説『鎮守府室長執務記録』[番外編3 提督が叛乱鎮守府の指揮を執ります(1)]

以前、「#提督が今から叛乱鎮守府掃討作戦の指揮を執ります」というハッシュタグでSSをtwitterで垂れ流したのですが、あの顛末を纏めることにしました
ある日の昼食の時である。一通の書留郵便が届いた。

「あら、誰からですの」
書留が届いたことを知らせた鳳翔が尋ねる。
「『上』からだ。それにしても書留とは珍しいな」

普段はパソコンでやり取りをすることになっているため、郵便が届くというのは非常にまれなのだ。カレーが食べかけだったので食堂に戻る。

「提督ゥー、食事中に歩き回るのはマナー違反デース!」
「すまんな、私宛に郵便が届いたので対応をしていたのだ。今後は気を付ける」
「郵便? 中身見まシタ?」
「いや、まだだ。食事を終わった後に見ようと思っているのだが」
「ついでだからここで見ちゃったらどうデース!」
「それこそマナー違反じゃないのか?」
「細かいことはいいですから開けちゃってくだサーイ」

仕方ないな、と食堂からハサミを借りて封を開封する。

「なになに、『ケッコンカッコカリに関する契約について』……?」
封筒の中には「同意書」と書かれた書類と、提督向けの書類が同封されていた。何やら「結婚」という単語が聞こえたからなのか周りに集まりだした。

「ケッコンカッコカリ? 普通の結婚とは違うんですか?」
「待て待て、この書類に書かれているみたいだぞ。なになに……『あなたと艦娘がケッコンカッコカリを行うことにより、艦娘の力が更に強まるシステムを実施することとなりました。つきましては当該艦娘と当契約を行い、さらに力を高めて頂けると幸いです』……」
その下に「ケッコンカッコカリ」の条件として練度が最大値に達していること、契約をするとリング状のものが授与され、それを指にすることで力が更に解放される、出撃時の資材が減る、これは自由であり受け入れるか否かは自由である、等が書かれている。リングの画像が添付されているが、どう見ても結婚指輪のそれだった。

「で、提督は結婚すんの?」
何やら秋雲がニヤニヤしながら私に訊ねる。
「カッコカリ、な。どうせお前は『漫画のネタになる』くらいしか思ってないんだろ?」
「バレちった? でも私はもし提督が結婚するってなら応援するよ。こんなに周りに女の子いるんだもん、一人くらいは好きな子がいるかもしれないし。あ、提督がホモじゃないって前提だけどねー。なんなら私とケッコンしてもいいんだよー」

秋雲はここに来て1ヶ月程度なのだが、今の鎮守府の状況を一番分かっているようだ。
飄々として掴みどころがないが、本質を理解する能力に特に優れているのだ。秋雲は1ヶ月ではあるが鎮守府を観察し、「提督はこの中の誰かが好きである。そしてこのシステムにサインをするのだ」と瞬時に思ったに違いない。秋雲に1ヶ月という期間は十分すぎるほどだった。

ケッコンカッコカリシステムがなぜケッコンカッコカリと呼ばれているか。それは、艦娘に見せてはいけない書類が同封しており、その中の一文にこう記されているからに他ならない。

『ケッコンカッコカリを行った艦娘においては、終戦後に当該艦娘であった者の情報を貴殿に開示する』

この一文こそが「ケッコンカッコカリ」と呼ばれている所以である。

艦娘となる女の子が艦娘となる契約をするのは鎮守府ではなく「上」とである。「鎮守府」では室長、つまり自分が艦娘に指示をすることがある程度認められている。しかしながらそれ以外の部分、具体的には人事や給与等については「上」の仕事なのである。いわば都道府県警と警察署のような関係である。
艦娘の情報についても「上」が管理しており、引退した際に年金等を支払う関係上艦娘の現住所等を知っておく必要があるのだ。情報は厳重に管理されており、室長である自分も詳しいことをよく知らないのだ。そのため、街で偶然会って話をするくらいしかできず、元艦娘が今何をやっているかは自分にもわからない。

そんな「情報」を自分に開示してくれるというのだ。情報を知ることができれば家を訪ねることもできるし、万が一異性として意識しているならば結婚だって可能である。しかも「開示することができる」ではない。おそらく「上」が艦娘の情報の入った書類の写しを自分によこす、ということだ。
さて、ここで一つの問題がある。個人情報というのは書類に印刷されている情報だけが個人情報とは限らない点だ。性格、声、好きな食べ物や音楽。それらを全て含めると情報は膨大な量になる。ましてや彼女たちは1回「現場」に入り、会話を行い、寝食を共にしているのだ。そして彼女たちを間近で見ているのは、他ならない室長、つまり自分なのだ。他の艦娘も見ていることは見ているが、戦争が終われば元いた場所に戻って行き元艦娘同士の付き合いもなくなる。そもそも彼女たち自身も他の艦娘がどうなったのかを知らされることもないし、他人のことを気にする余裕も生まれないだろう。中には交流を持つ艦娘同士もいるかもしれないが、それはごく一部の家が裕福で自由に生活を送ることができる子のみであろう。彼女たちは精一杯生きなければならないからだ。
つまり艦娘の情報を知っているのは室長だけであり、室長が必ずしもいい人とは限らない可能性もある。情報を裏社会とつながりがある人に手渡して金を受け取る可能性もないわけではないと考えていた。

この判断は「上」としても苦渋の決断だったに違いない。自分がこの任を受けてから8ヶ月経ち、艦娘から信頼された時期であるとの判断あってのものだろう。そこで、情報開示は基本的に一人だけに行うことになった。複数の子の情報開示するためにはそれ相応の金額を必要とするというのも併せて書かれていた。その「それ相応の金額」が書かれているのだが、おいそれと手が出せない金額だった。
この「基本一人だけ・書類を提出する・力を開放するのがリング状のもの」というのを合わせて結婚のシステムと似通っているため「ケッコンカッコカリ」と命名されたようだ。半分揶揄、半分ヤケクソ感漂うネーミングセンスである。

「テートクー!」
金剛が抱きついてきた。そして金剛たちはそれを見逃さなかった。
「ここで逃してたまるか」、そう思ったのだろうか、ワッ、と駆け寄ってきたのだ。

「ケッコン相手はもちろん、私に決まってますよねー?」
「榛名はいつもあなたのおそばにいます」
「いつも爆撃しちゃってるけども、これからは気を付けるからさ、ね」
「五航戦はあっちいってなさい。私感情表現が苦手だけど、提督の事…」

このような状態であるがゆえ、何か弁明をしようにもできない状態がしばらく続いた。脇を見ると赤城が全員ほったらかしにしていた昼食のカレーを平らげようとしている最中だった。

このような状況の中、「あのさぁ」と切り出したのはやはり秋雲だった。
「提督嫌がってんじゃん。そんなしつこいと嫌われちゃうぞ」
そういうと先ほどまで抱きついていた金剛が顔を赤くしながら離れた。秋雲はこう続ける。
「提督の気持ちも聞かないとさ、フェアじゃないじゃん?」
これはもう言うしかないだろう。全員の目が私に向いていることが分かった。

「コホン。えーと、まぁ秋雲の言う通りで自分には好きな子がいる。上司と部下と言う関係上あまりこういう関係にはしたくなかったのだが、こういう制度ができたので利用させてもらおうと考えている」
「とか言ってるけど提督顔真っ赤だよー。本当に好きな子がいるんだね二ヒヒ」

自分でも顔が赤くなっているのを感じるくらいである。そして、全員が誰を好きになったのかを今か今かと固唾をのんで見守っている。
ええい、ままよ。ある方向を向き声を上げる。先ほどまで加賀が食べていた空母が集まって食事をしている場所。

「飛龍、この書類にサインして欲しい」
既にカレーを食べ終わっていた飛龍は先ほどの騒動には加わらず蒼龍と一緒に座っていた。

突然の告白を受けた飛龍は、一瞬困惑したような顔を見せたが、そのあとすぐにニッコリ笑顔で返してくれた。それで十分だった。
飛龍が座っている場所に行くと、後で執務室に来るように伝えた。そしてパンパンと手を2回叩いた。「解散」を知らせる音だ。
「お前たち、もう飯の時間はオーバーしてるぞ。午後の訓練30分後に始めるからな」

そういえばカレーを残していたな、とみんなが思ったが時すでに遅し。赤城が全員の分のカレーを今まさに平らげて食堂から出ていくところであった。
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Author:マロン
鉄道マニアで主に乗り鉄。
また、艦これやガルパンが好きです。

「マロンブックス」というサークル名でたまにイベントに参加しています。

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